私は、企業文化を強化するための優れたツールとして、カルチャーブックがあると考えています。
会社のアイデンティティ(らしさ)とは何か、実際にメンバーがどのように大切にしているかを簡単に理解できます。
ここでは、アカツキのカルチャーブックについて紹介しましょう。
強いアイデンティティへの旅
「私たちは“なぜ”存在するのでしょう」
「ビジョン実現するにあたって私たちが大切にしたいスタイルとは?」
2016年2月、冬の東京。
アカツキでは、会社の拡大とメンバーの増加に伴って、本質的に大切にしたい考え方を全員に伝え・理解してもらうのが困難になってきていました。
寒さの中、外ではすでに梅が咲き始めようとしていました。
そして、彼らはあるアイデアを思いついたのです。
日本を拠点とし、主にモバイルゲーム事業を展開する株式会社アカツキにとって、企業文化と価値観は不可欠です。
2016年のミーティングで、小能拓己氏と創業者の1人である塩田元規氏らが話した際、彼らが現在持っている企業文化を未来に紡いでいく上で、口頭のみで、社として大切にする価値観や考え方を伝えることへの限界を感じたところから構想がスタートしました。
同社はPowerPointスライドにミッション・ビジョンや大切にする哲学、言葉を掲げ、毎月のようにプレゼンして、会社のらしさを紡いでいました。
ホームページにビジョンやミッションは掲載していますが、どのような背景からそのビジョンに至ったのか。ビジョン・ミッション・哲学を大切にしながらも、メンバーはどのように考え、仕事に取り組んでいるのか。
大切にする「言葉」を、実際にメンバーが紡いだ「物語」と一緒に伝えていくべく、それを「本」という形でまとめるという考えに至りました。
会社を木に例えると、ビジョン・ミッション・哲学は幹。そしてメンバーは葉です。
大切にする共通言語を、メンバーの言葉を通じて未来に紡いでいくことを、それが新たなコトの始まりになることを願い、「アカツキのコトノハ」と名付けることにしました。
あっという間に、彼らはいわゆる「カルチャーブック」を作り始めました。
企業の価値観、ビジョンを伝えるカルチャーブックは、アメリカの有名な靴のネット通販会社であるZappos(ザッポス)の「Zapposカルチャーブック」を通じて、近年かなり人気になっています。
これは非常に優れたリーダーシップの習慣であり、Management 3.0のツールボックスにも含まれています。
言うは易く行うは難し。
本を出版するのは簡単なプロジェクトではなく、最初の締め切りには間に合いませんでした。コアチームが誇りを持って“彼らの”本の初版を出版するまでに、ほぼ1年かかりました。
しかし、この本はまだ彼らを代表するものとは言い切れませんでした。メンバーが本当に大切にする言葉を掲載できるよう、具体的なアイデアを集めるために、
200人の正社員全員で大きなワークショップを行ったのです。 そこでの気づきについては第2版に書かれています。