これまで何回かに及び、幸福やポジティブ・ネガティブについて考えてきました。
今回は、その感情や幸福を感じる張本人である「自分自身」に着目してみましょう。
突然ですが、
普段、皆さんの意識はどこに向かっていますか?
これから食べる食事のことでしょうか。待っている誰かからの連絡でしょうか。
しなければならないタスクのことでしょうか。楽しみにしている週末の予定でしょうか。
私達は、情報過多な現代を生きています。
日々、脳が処理できる以上の情報を、意識・無意識問わずに得ています。
JETROによれば、
世界のデータ流通量(IPトラフィック)は、1984年の毎月17ギガバイトから、2017年には1217億ギガバイト(=122エクサバイト、DVD304億枚相当)にまで増加した。
(日本貿易振興機構.2018.「急増する世界の「データ」流通量」.2018年年11月21日.最終アクセス2019年8月31日.
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2018/380fd5f0d9c4bb4d.html)
とされています。
そのような膨大な情報に晒されると、意図的でなくても情報処理機能を奪われてしまいます。
そして、本来注力したい問題解決や意思決定に費やせる、その機能やエネルギーの余力がなくなります。
そのため、自身の体調を推し量ることはもちろん、偽りない本当の感情さえ、充分に認識できないこともあるのです。
いまこの瞬間。
「いま、ここ」に在るという意識や感覚で自分自身を満たし、感じ得ることを『マインドフルネス』と呼びます。
昨今、瞑想やメディテーションとセットになって、広く普及してきています。
様々な方法が謳われていますが、私は、呼吸に集中することを皮切りに、実践しています。実践して気づくのは、呼吸でさえどのように行っているのか、気を留められていない事実です。
リラックスしていれば呼吸は深くなり、緊張していれば呼吸は浅くなります。
逆に、深呼吸をすることでリラックスできます。
吸う息とともに新鮮な空気が入ってくることをイメージし、自分自身を満たす感覚を続けるうちに、自然と心や体が平穏に近づいていきます。
皆さんも読む手を止め、
「いま、ここ」のあなたに意識を向けてみてください。
どのような呼吸をし、五感で何を捉えているのか。アタマやカラダに意識を向けると、どのような状態を感じ得るのか。
スッキリと晴れやかな部分もあれば、モヤモヤしたり、重たくダルさを感じるかもしれません。
膨大な情報に晒されるがゆえ、
「マインドでフル(満たされた感覚を持ちながら、集中する)」なのではなく、「マインドがフル(様々な感情や思考でいっぱいいっぱいになっている)」な状態にあることが多いでしょう。
マインドフルネスを取り入れ、自分自身のいまに集中する感覚を取り入れられたとき、私達は物事を主観なく的確に捉えることができるようになります。
海馬や扁桃体といわれる脳の部位に、変化が起きるとされているからです。
いま、ここに集中することによって、不要な原因論・元凶論に囚われることなく、先行きを必要以上に恐れることなく、
いま何が起こっているのかを把握します。
それは、解決のために何をすべきなのか、最適な解決策や方法を考える上での大前提だといえるのではないでしょうか。
だからこそ、
「いま、ここ」に意識を向けてみましょう。
いまの状況を主観でジャッジ(判断)することなく、ありのままに受け止めること。
それは、あなた自身を「ありのまま」に受け止める機会でもあります。
今日一日あるいは昨日一日で、五感で何かを感じ取りましたか?
それに対して、どのような感情を得ましたか?
ほんの数分でも、最初は構いません。
スマートフォンやパソコン、テレビを観る手を止めて、その時間を自分自身との繋がりにあててみてください。
ポジティブ心理学認定プラクショナー
溝上 真璃