前回、前々回と意識を内側(=自分自身)に向けるトレーニングについて、述べました。
今回は、
なぜ
「Doing(=やるべきこと、したこと、出来ること、どうやるか)」
ではなく、
「Being(=どうあるべきか、どうあるか)」
ということに、着目することが重要なのか、改めて考えたいと思います。
突然ですが、
あなたをInspireしてくれた人は、誰ですか?
(※参考:Inspire=元気づける、明るくする、何かを起こすきっかけとなる、感情を引き出すetc)
幼少時代、学生時代、社会人になってから、、、いつでも構いません。
その人達はどのようにあなたをInspireし、あなたはどのような部分に感化されましたか?
その特徴を3~4個、単語で書き出してみてください。
私がこの質問で思い出す人は、2人います。
「祖母」と「営業職時代にお世話になった先輩」です。
私の祖母は、7人の子どもを女手一つで育て上げ、孫5人にも最高の機会と愛情を注いでくれました。
いまの私がいるのは、いまの私が形成されたのは、祖母のおかげだと、大袈裟でなく言い切れます。
「愛情」「ユーモア」「不屈」「信念」
祖母を思い浮かべると、これらの言葉が思い浮かびます。
もう一人、営業職時代にお世話になった先輩は、
クライアントとの関係をより良いものにすべく、企画・制作の立場からサポートしてくれました。
当時の私は社会人になりたてで、勢いだけは誰にも負けなかったものの、勇み足なことが多く、いま振り返ると恥ずかしいことばかりです。先輩からしてみたら、危なっかしいこと請け合いだったと思います。
しかし、その先輩は私を咎めることも、諫めることももちろん、自身の方法を私に押し付けることもありませんでした。
「ユーモア」「楽観」「余裕」「慈愛」
とても経験豊富で、仕事のできる方ではありましたが、
スキルや何をしてもらったかということ以上に、私に真摯に向き合い、どのように物事に対していたか、ということが印象深く残っています。
2人に共通するのは、
私の行動に対して直接的な言及はなくとも、共にいる私の気持ちに訴えかけ、高いモチベーションを“自ら起こす”マインドを醸成してくれたことです。
皆さんは、いかがでしたか。
どのような人、そして、どのような単語が思い浮かびましたか。
ある人の賢さ・知識といった「知能(IQ)」に関することでしょうか。
仕事などの専門性における「スキル」についてでしょうか。
それとも、私と同じように、その人自身を表すような「在り方・感情(EQ)」においてでしょうか。
千差万別だとは思いますが、
「在り方・感情(EQ)」に関するものが一番多いのではないでしょうか。
興味深いことに、直接的な働きかけ(何を言ったか・何をしたか)以上に、
私達のモチベーションを喚起するのは、対する相手の個性や性質=Beingによるものが非常に強いのです。
同じ言動でも発した相手・発したニュアンスによって、受け止め方・感じ方が変わることは、誰でも経験があるはずです。
なぜなら、
私達の行動の発端には感情があり、その感情が大きくなれば、行動も自然と伴ってくるからです。
ヒンドゥー教の経典からとされる、このような格言があります。
心が変われば、態度が変わる。
態度が変われば、行動が変わる。
行動が変われば、習慣が変わる。
習慣が変われば、人格が変わる。
人格が変われば、運命が変わる。
運命が変われば、人生が変わる。
心・態度=Being 行動・習慣=Doing
「すること・できること」より「在ること」。
「何をすべきか」ではなく、「どうあるべきか」。
そのことに目を向けられたとき、自然と皆さんの言動は変わり、動き始めるのではないでしょうか。
皆さんは、どういう存在でありたいですか。
ポジティブ心理学認定プラクショナー
溝上 真璃