Management 3.0のボーナスシステム “メリットマネー”

私が以前働いていた会社は、ボーナス制度が無く、ひどい環境でした。妬みが生まれるような環境で企業文化も害すほどでした。主な問題は、”もし…なら~する” といった伝統的な報酬システムからくる感情や行動だったように思います。
しかし、ダニエル・ピンクと大前研一氏の素晴らしい著書「モチベーション3.0」が出版されて以来、私たちはこれらの報酬が機能しないこと、望むことと逆の効果をもたらす可能性があることを知ります。(この内容について詳しく知りたい方はこちらの動画をご覧ください)。

さあ、あなたならどうしますか?ボーナスは無くてもいいでしょうか?

基本的には私はそれでいいと思っていました。ボーナスが目に見えなくても私は常にモチベーションを感じていたからです。しかし、一方で努力したことを認めてもらうという形で報酬をもらうのは良いことだと思います。
会社が大きな利益を上げている時は、主に成功への責任がある従業員と共有されるべきだと私は思います。

従来のボーナス制度はトップダウンで設計されています。マネジャーは、誰がどのくらいの金額を受け取るかを決めます。しかし、これではマネジャーは常にそれぞれの従業員の努力や全体像を把握している必要があるため、不可能と言えます。

では、どうしたらいいのでしょうか?

Management 3.0 のプラクティス  “メリットマネー(Merit Money)”

メリットマネーは、同僚同士(ピアツーピア)で送り合うボーナスシステムです。たとえば、すべての従業員は毎月1セットの仮想コインを100枚持ちます。

そして、他のメンバーが何か良いことをすると、あなたはそれが報われるべきだと考え、その人に好きなだけコインを送ります。毎月、各従業員はもらったコインを貯めていきます。月末には、コインを実際の報酬と交換することができます。150枚のコインで無料のランチがもらえたり、500枚だと特別休暇がもらえたりする、などです。

メリットマネーを導入するためのソフトウェアツールはいくつかあり、お金を仮想的に分配することができるピアツーピアのボーナスシステムが多く提供されています。
たとえば、BonuslyはSlackやYammerなど多くの会社のプラットフォームに組み込むことができます。

日本ではUniposがあります。これはFeedforceが利用していますが、ポジティブな企業文化の構築に役立っていることが分かります。

 NuWorksのチームでメリットマネーを試してみた話

私は前の会社とは違うことをしたいと思い、チームにメリットマネー制度を提案しました。その時のメンバーは4人。彼らは同意してくれ、早速実験をしてみました。全員が毎月30ポイントを持ち、毎月末までにそれを使い切るようにしました。

私たちは「Merit Money」と呼ばれる専用のSlackチャンネルを作り、そこに「誰から誰へ〇ポイント」を書くようにしてコインを送りました。たとえば、同僚が翻訳を手伝ってくれた時には、彼女に6枚のコインを送り、「〇〇さん、翻訳を手伝ってくれてありがとう!」とお礼を伝えました。最終的には他の人もその恩恵を受け、彼女に4枚のコインを送りました。彼女はとても喜んでくれたので、私も気持ちがよかったです。

left: spend points, right: earned points

また、Slackチャンネルとは別に、私はオンラインのExcelシートでポイントの流れを記録していきました。ただ、リアルタイムではなかったので、月初に割り当てられた30ポイントを超えて使ってしまう人も出てきました。しかし、それは問題ではありませんでした。月末には、会社の利益の3%をボーナスとしてチームに渡しました。さらに、利益が出ていない月にもチームが何かを得られるように1,000円を追加したので、少なくとも少しのボーナスは分配されました。

導入とその後…

最初の頃は本当に素晴らしいツールで、全員がお互いにポイントを送り合っていました。
先程の割り当てポイントよりも多く使ってしまうという点では、今月はすでに使い切ってしまい、すでに残高はゼロだけれども、「まだ月末まで日数はある」「感謝の気持ちを表さないことはないだろう」いう気持ちからくるものです。ポイントの残高にとらわれず、感謝を伝えたいという気持ちがこの行動から汲み取れるかと思います。

良い効果は、管理者ではなく、従業員が誰がどの価値を付加するかを決めることができることです。透明性のある方法で行われるので、誰にとっても公平です。そして、それが功を奏し、感謝の文化が生まれました。私たちのチームスピリットは、このことから多くの恩恵を受けていると感じました。この取り組みはとても楽しかったです。

しかし、楽しいことだけではありませんでした。

数ヶ月使っているうちに、徐々にチームでは使うことが減ってきたのです。
私は、なぜだろうとポイントを使うよう促してみましたが、やはり最初の頃とは違いました。最初の頃のようにはいかなかったのです。
ある人はとても頻繁にポイントを使うようになり、ある人は稀にしか使わなくなりました。チームのミーティングで、ある人はポイントをたくさん送って仕事をたくさんしているが、周りからはポイントがあまりもらえないと話しました。私は同意せざるを得ませんでした。

徐々にですが、着実にこのツールはチームの負担になっていきました。ある人は、義務になっていて、もう楽しくないと話しました。私たちは、このプラクティスをやめる時が来たと認めなければなりませんでした。
しかし、私たちは感謝の文化は維持したいと思っていたので、KUDOカードのプラクティスに変更することにしました。

適応、そして次の実験へ

このプロセス全体は私にとって大きな教訓となりました。常に、良いものを諦める覚悟を持ち、状況に適応し続けることです。

今はもうメリットマネーやKUDOカードはたまにしか使っていないにしても、使っていた時に得た感謝の文化があります。専用のツールを使わなくても、お互いの仕事を評価し合うことが自然になったのです。メリットマネーやKUDOカードのおかげで、私たちの習慣や行動が変わったのだと思います。

メリットマネーは、それぞれの職場やチームの規模で適応する必要がありますが、根底は「感謝の気持ちを伝える」ことです。仕事内容だけでなく、「ランチに誘ってくれてありがとう」など日常的なことでも良いと思います。些細なことに気づいてくれた、それだけでも気持ちが明るくうれしくなるのではないでしょうか。
メリットマネーもKUDOカードも、あげたりもらったり、そこから温かいコミュニケーションが生まれます。特に今はオンラインで仕事をする機会が増えています。面と向かって感謝を伝えることが減ってしまった分、伝えていくことは大事だと思っています。

よかったらぜひ、あなたの組織・チームでもメリットマネーを試してみてください。
感謝の文化を醸成していきましょう。
さて、最近では、新しいボーナス制度を導入しています。これはとてもシンプルなもので、誰もが会社の利益の前もって合意した取り分を得るというものです。これがどのくらい効果があるか見ていきたいと思います。


Management 3.0ワークショップ 今後のスケジュール

■1月12日(火)~2月2日(火)4週連続
全4回 Management 3.0 オンラインワークショップ(Management 3.0とリモート・リーダーシップ、リモート・コラボレーションを学ぶ)

■2月9日(火)16日(火)
(オンライン)全2回 Management 3.0 組織のスケールアップとコンピテンシーワークショップ(組織構造の拡大・コンピテンシーの開発)

 

※この記事はManagement 3.0のブログにも転載しております。