<インタビュー>リーン・チェンジマネジメント

今回は、リーン・チェンジマネジメントのワークショップ資料翻訳に携わってくださった寳田雅文さんに、実際にワークショップに参加された感想やご自身の「変化・変革」についてインタビューをさせていただきました。

現在、寳田さんはManagement 3.0コミュニティメンバーの中原さん、羽飼さんとともに、ジェーソン・リトル(Jason Little)著「Lean Change Management: Innovative practices for managing」の翻訳作業をされています。日本で出版される日が待ち遠しいです。

他にも、生きがいカードゲームWork Together Anywhere、Management 3.0資料など、NuWorksで提供しているワークショップのほとんどの資料に翻訳および校正として携わってくださっています。いつも本当にありがとうございます!

では、早速リーン・チェンジマネジメントについてお話をうかがっていきたいと思います。
ご回答は原文のまま掲載しております。


寳田さんは現在どのようなお仕事をされていますか?

いわゆる情報システムの仕事をしています。メールやチャットやファイル共有など社内の人が普段仕事をする際につかう仕組みの導入や運用ですね。導入した仕組みの活用推進(社内向け説明会やワークショップ)などもやっています。

 

 

では最初に、リーン・チェンジマネジメントのワークショップに参加された感想をお聞かせください。

参加者の立場でワークを楽しませて頂いたのはもちろんのこと、資料の翻訳に関わらせてもらっていたので「この資料がこんな流れで使われるのか」「こういう質問がくるのか」といった半分開催者の立場でも周りを見渡すことができて面白かったですね。

 

特に興味深かった内容、またはモジュールはどのあたりですか?その理由も教えてください

カルチャーハッキングの考え方が興味深かったです。文化はそれぞれの場所によって相対的なものになると思いますが、そこからの変化量としてインパクトが少ないもの、大きいものをやるやらないは別として出していくというのはいいアイデアが出そうだなと思いました。一方で、例えば経営層とそういう場を持てるような状況であればすでに変化は軌道に乗っているような感覚もありますが 笑

 

ワークショップでは様々な変化のモデルが出てきますが、好きなモデルや考え方はありますか?

本でも冒頭で出てきますが、サティアチェンジモデルは理解しやすいし使いやすいですね。何かやろうとしてカオスに陥っている状況でも心の支えになります 笑

 

 


「アジャイル」について

ワークショップにも多く出てくる言葉ですが、私はNuWorksに入る約3年前まで「アジャイル」という言葉を知りませんでした。「アジャイル」は元々「アジャイル開発」というソフトウェア開発の手法の1つとして使われているものだそうですね。最近は、人事やITの世界以外でも使われる言葉になり、業界をまたいでよく見る言葉になったように感じます。

ワークショップでは「アジャイル」について1つのモジュールで扱いますが、私と同じようにアジャイルと言う言葉を聞き慣れていない方向けに説明するとしたら、寳田さんはどのように伝えますか?
また寳田さんにとってアジャイルはどのようなものでしょうか?

 

うまく自分の言葉にできるよう理解したいなと思っているところではありますが「考えることをやめないこと」という点が「アジャイル」と言う言葉が指すところの大きな特徴ではないかなと思っています。

このやり方に沿っていれば大丈夫、誰かがこういっていたから、自分はこれまでこうやっていたから、みたいに目の前で起こる出来事に対して考えずにこれまでのやり方で、あるいは思いつきで別のやり方で対処してしまうことってよくあると思いますが、一歩立ち止まって「今の状況に応じて自分たちがとれる最善の策は何か」に考えを巡らすことが「アジャイル」であることを表すひとつの要素なんじゃないかなと思います。

リーン・チェンジマネジメントは「フィードバックドリブン」ですね。自分たちの状況に適応させて変化させていくことをジェーソンさんも本の中で伝えていますね。
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では、ここからリーン・チェンジマネジメントワークショップで登場するキャンバスやツールなどを交えながら具体的なお話をお聞きしてみたいと思います。

ワークショップの最初に「あなたの課題(チャレンジ)」についてお一人ずつ書き出していただいていますが、寳田さんは、現在、変化を起こそうとしていますか?差し支えなければどのような課題があるか教えてください。
また、どのような変化を起こしたいと考えていらっしゃいますか?

 

数年前は「会社全体の事業やそこにいる人のあり方を変えていきたい(ずいぶん大風呂敷ですが)」という考えから、ある取組みを会社全体に働きかける形で実施していましたが、今はゆくゆくは会社全体を変えたいという考えがありながらも、変化を起こす起点を自分の現場にするような動きをとっていると自分では思います。

どういう変化かというと、イメージ的には「誰か1人が他の人を統率していく」ような考え方を「皆が個性を生かしてそれぞれ主体的に動きながらもお互いに協調していく」といった形に変えたいと思っています。「ヒーロー依存型組織」からの脱却みたいな言葉でも表されるかもしれません。

課題は「誰か1人が他の人を統率していく」ことを良しとした仕事の進め方やプロセスや言葉の使い方が各所にあるので、まずはそこを意識できるようにするところからですかね… 言葉の使い方は小さいですが大事なことだと思っています。例えば「指導」とか「指示」とか「教育」とか。意識して聞いていると言葉が文化をつくっているんだなと思うことがよくあります。

 

寳田さんにとってその課題を後押ししてくれるものは何でしょうか?

過去に起こした会社全体に対する変化の取組みを実施しているなかで出来た人と人との繋がりがそれにあたると思っています。

 

人と人との繋がり、重要ですよね。
では、変化を起こしたいとき、周りにそれをどのように伝えていますか?また、気をつけていることがあれば教えてください。

例えばチームに何かプラクティスを導入するような変化の場合、自分が先にそれに向けて行動するようなことを意識しているような気がします。例えば、チームにふりかえりの習慣を導入するのであれば、チームにふりかえりをやろうと提案する前に、個人ふりかえりをチームメンバーが見えるところで1人でやるみたいな。私から他の人に「やって」という構造になるのを避けて、それをやることの良さを察せるような状況をつくったうえで「一緒にやろうよ」という働きかけになるようにはしているつもりです。

 

一緒に変化を行ってくれる人(フォロワー)はいらっしゃいますか? また、それはどのような人たちですか?

先ほど言ったとおり、過去に起こした取組みで一緒に動いた人がそれにあたると思います。今の現場起点で起こそうとしている変化については、今のチームメンバーがそうだとも思っています。チームメンバーが自ら動いてくれるのが行動として見えるタイミングがあると、私が起こそうとしている変化を意識した結果だとしても、そうでなくても単純に嬉しくなっちゃいますね。私の変化に対するチーム内の反発はまったくと言っていいほど無いような状況というのも幸運なことだと思っています。

 

パースペクティブマッピングのおすすめの使い方があれば教えてください。

元々の想定としては組織をある程度の層に分けたとき(例えば経営層と現場とか)にお互いの観点の違いに気付いて理解していくために使うものだとは思いますが、個人同士の観点の違いとしても使えるかもしれません。なんにせよ、変化を起こす際にそれぞれの観点を理解するのはとても大事なことだと思います。

 


ありがとうございます。では、次に変化(変革)と実験についてうかがいたいと思います。

(チェンジキャンバス)

変化に向けてどのような実験を行いたいと考えていらっしゃいますか?(または行いましたか?具体的にあれば教えてください)

ちょっと話の角度が違うかもしれませんが、それこそチームに何かしらプラクティスを導入する際、「実験」というフェーズを経た方がいいと思っています。不可逆な決定事項は人の抵抗を大きくする要素のひとつだと思いますので。うまくいかないときにいつでも前に戻れる状況をつくって、その期間にチームとして成功体験を積めたものをチームのルールや習慣や規律に落としていけるとよいですね。

 

すごく小規模な実験ですが、会社全体とか組織全体とか管理職全体とか広い範囲に問いかけや呼びかけをすることはよくやります。「こういう問題ありませんか?あれば有志で集まってディスカッションしてみませんか?」のような。誰がその事に対して関心が高いのかを見る感じですね。本にもありましたが、この流れでいくつかの集まりでリーンコーヒーセッションもやりました。これは実施するのにほとんどコストが掛からないのでお勧めです。

 

チェンジキャンバスを使われていましたら、使い方や感想などを教えてください。

実を言うとまだ使ったことはないですが… チームのふりかえりでキャンバスの各項目の流れでディスカッションを進めるとよさそうかなとは思います。個別のアクションよりも目標とかありたい姿に準じた起こしたい変化に皆が思考をフォーカスできそうですので。今度やってみようかと思います。

 

このワークショップと通して得たことをどのように活かせると思いますか?また、どのような場面で活かしたいと思いますか?

実は私はリーンチェンジマネジメントを個別のキャンバスやツールよりも大枠の考え方として捉えています。そのなかでも一番は「変化の症状(抵抗)を減らすために何ができるか」といったところですね。ですので、このワークショップで得たことは特定の状況というよりも何か変化を起こしたいとき(取組みを実施するとき、何かを導入するとき)全般で活用できるのではないかと思います。

 

ワークショップでも出てくる質問ですが、「リーン・チェンジマネジメントを一言で表すとしたら何ですか」?

ワークショップの最後にも言ったかもしれませんが「やさしい変革」だと思います。その変化の影響を受ける人たちを敵とみなさず、置いてきぼりにせず、その変化の計画づくりに参画してもらうという考え方がそれを表していると思います。リーン・チェンジマネジメントは「それぞれの観点からそれぞれだけでは見つけられなかった共通のゴールを見出して皆でそこに進んでいく」ための考え方やツールというイメージで捉えています。

 

最後に、寳田さんが思う「変化(変革)」とは何でしょうか?
今後起こしていきたい大きな変化(変革)があれば教えてください。

前にManagement 3.0の方の資料で「Freedom(あるがままの自由)」と「Liberty(抑圧や制限からの解放)」についてどう翻訳するかという話題が挙がったことがありました。私はManagement 3.0のムービングモチベーターズをすると「自由」が必ず上位に来るような人間なんですが、そこで私は同じ「自由」でも「Liberty」となる自由を獲得するような変化を求めているのでは…という気づきがありました。そういう意味で、ヒーロー依存型の考え方をやさしさをもってコラボレーションで凌駕し、これまでの考え方から皆が解放されるような変化を起こしていきたいですね。大きなお世話だと感じる人もいると思いますが 笑

 

Management 3.0ファシリテーターでもある寳田さんのやさしさを伴う変化、リーダーシップ。今後がとても楽しみですね。
ますますのご活躍を心からお祈りしております!今回は貴重なお話をありがとうございました。
(文 NuWorks 杉山)


寳田雅文さんプロフィール

とある企業の情シス所属。情報基盤の導入〜利用推進を行っている。2017年頃に社内で変革を仕掛けるコミュニティをボトムアップで立ち上げたが、しばらくの快進撃を経て、停滞期間に突入。社外ではDevLOVEManagement3.0CoderDojo赤羽で活動。みんなで協力しながらベストを尽くして、ひとつのことをやり遂げるのが好き。

 

 


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