スクラムは、世界中の何百万人もの人が複雑な問題を解決するために活用しているフレームワークです。 スクラムはソフトウェア開発の世界で生まれましたが、今ではハードウェア、マーケティング、販売、人事などの多くの組織で使用されています。
スクラム チームは機能横断型で自己管理型であり、終わりのないコラボレーションと実験を必要とする複雑な問題に取り組んでいます。 マネジメント 3.0 の考え方とプラクティスは、まさにそのようなチームに最適です。
私はスクラム マスターおよびスクラムの実践者として、10 年以上にわたり、 中小企業から大企業まで、さまざまな組織でいくつかの Management 3.0 プラクティスを活用および導入してきました。
メリットマネー
私は、スクラムをやっている 2 つの会社でメリット マネーを経験しました:フランスの中小企業1社と日本の大手企業1社。 どちらの場合もメリット マネーが、従業員の士気、エンゲージメント、パフォーマンスにプラスの影響を与えていることが見られました。
メリット マネーがスクラム チーム メンバーに、互いの最も効果的な行動を認識して強化する機会を与えることを観察しています。スクラムの根底にある「自己管理」を促進します。 また、メリット マネーは、リーダーにスクラム チーム メンバーを表彰する体系的な機会を提供しています。 これは、リーダーが各チームと直接つながる機会がほとんどない場合に特に重要です。
たとえば、彼らが多くのチームを支援・サポートしている場合、またはチームがオフショアの場合です。しかし、受け取ったフィードバックが表面的であったり、誠実さに欠けていると思われる場合、人はシニカルになることがあります。 誰もが金銭的な報酬を喜んでいますが、当然ながら、それに付随するメッセージや意図の方が重要視されます。
このプラクティスを始める際の私からのティップス:
- まずはメリット マネーに関して調べる。 メリット マネーが機能する基本的なメカニズムを理解することにより、会社内のチェンジマネージメントがしやすくなる。
- あなたが共感できる会社(同じ規模、同じ業界など)のケーススタディを見つける。
- 組織内でメリット マネーの「ビジネス ケース」を作成し、社内で協力者を集める。
- まずは組織の一部だけで実験して、システムを調整してから、拡大していく。
ムービング・モチベーター
スクラム チームは機能横断型で自己管理型であり、終わりのないコラボレーションと実験を必要とする複雑な問題に取り組んでいます。 経験的に知っているように (リンク)、そのようなチームは、メンバーがお互いの前で脆弱であっても(失敗したとや、矛盾した意見を言いたいときなど)安全だと感じられた方が、はるかに効果的です.
ムービング モチベーターは、そのような環境を作るのに役立つツールの 1 つです。
スクラムチームのメンバーやその他の同僚とお互いをより深く知り合うためによく使うツールです。 新しいチームに入った時はもちろんですが、長年一緒に仕事をしてきたチーム メイトでさえ、洞察に満ちた新しい会話が生まれることに気づきました。
さらに、スクラム マスターとしての目指すべき目標は、単にスクラム チーム メンバーをよりよく知ることだったり、スクラムマスターに話しやすい環境を作ったりすることだけではありません。 むしろ、スクラムマスターの目指すべき目標は、すべての人にとってそのような環境を作ることだと思います。 その意味では、チームメンバー全員でムービング モチベーターを使うのをお勧めします。例えば、ランダムなペアを組んで、話し合って、それを2・3回繰り返します。
このプラクティスを始める際の私からのティップス:
- とりあえずカードのセットを購入するか、バーチャルボードを作成して、誰かと試してみる
- チーム、その他の同僚、マネージャー、人事の方などに紹介し、誰でも使えるようにする
- 1回だけではなく、同じ人でも複数回使ってもよいです。例えば、年に1回とか、チームのスコープまたは個人の役割が変わったときなど。
エクスプロレーション(探索)・デイズ
エクスプロレーション・デイズはスクラム チームのお気に入りであり、さまざまな目的を満たします。
- 習慣として組織内の学習と革新を促進します。 ここで重要な点は、学習と革新を決まった日に限定しないことです。 時折のエクスプロレーション・デイズを除いて、毎日が反復的な仕事のように感じられることは望ましくありません。 学習と革新を継続的に行わないスクラム チームは、競争に遅れたり、一貫して顧客を満足させることに苦労します。
- プロダクトをよりよくするためのアイデアを生み出します。 また、エクスプロレーション・デイズ中にチームがどこまで到達できるかによって、これらのアイデアは部分的にテストされます (実現可能性、利害関係者のフィードバックなど)。したがって、エクスプロレーション・デイズ は、プロダクト オーナーが次に取り組むべきことを決定するための貴重な情報源です。
- 学習を生み出します。エクスプロレーション・デイズの参加者はプロダクト、ユーザー、技術、様々な観点で集中して学ぶことができます。
- Funです。毎日の仕事のプレッシャーとストレスを解放するのに役立ちます。
- 参加者が「スウォーミング」を学ぶ絶好の機会です。「スウォーミング」とは、スクラムチーム全員が同じゴールをできるだけ早く達成できるように、全力で協力するプラクティスです。残念ながら、タスクがあるメンバー1人だけに属人化していたり、スクラムチームがどうしても複数のゴールを並行して目指してしまう癖になっていたりすることが多いです。そこで、エクスプロレーション・デイズ中に参加者が小グループで作業するときに、日々の仕事の中でなかなか体験できない「真のチームワーク」を初めて体験できることがあります。
それはエクスプロレーション・デイズでのタイトなタイムボックスと自律性のおかげです。したがって、エクスプロレーション・デイズをやることによって、スクラムチームがそこで経験して来た「スウォーミング」を生かして、より良いチームになることがあると思います。
このプラクティスを始める際の私からのティップス:
- チーム内、または関係者を巻き込んで、簡単にエクスプロレーション・デイズの目的は何か?この時間を投資して目指している効果は何か?を目線合わせる。あなたにとっては当たり前かもしれませんが、他の人にとっては、最初は時間の無駄に思えるかもしれません。
- 他の投資やプロセスと同様で、エクスプロレーション・デイズの効果も検査して適応する。 エクスプロレーション・デイズから期待する目的を満たしているか(上記のポイントを参照)? 次回は何を変えるべきか?
- エクスプロレーション・デイズを数回行った後は、それほどエキサイティングではないと感じるかもしれません。 または、それらが生み出す価値 (例えば、新しいアイデアの量と質、学習のスピード) は、減少することさえあります。 したがって、フォーマット、スコープ、参加者、期間などを変更することを常に検討する。
過去10年間、上記3つに加えて、チーム コンピテンシー マトリックス、OKR、メドラーズ ゲームなど、様々なManagement 3.0プラクティスもスクラムチーム内で活用して、スクラムとManagement 3.0の親和性を確認することができました。それは、Management 3.0もScrumも両方同じような環境に焦点を与えていて、同じような第一原則に基づいているからだと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました
私、フォンテーヌ・グレゴリ(Fontaine Gregory)はアゴラックスの創設者です。私は世界中の約350人のプロフェッショナルスクラムトレーナーの1人、アジャイルコーチ、コンサルタント、そしてスクラムマスターです。
今まで多数のチームのスクラムマスターとして、改善、目標を達成し、顧客が望む製品を提供することを助けてきました。コンサルタントおよびアジャイルコーチとして、主に保険業界や製薬業界の大手企業を、組織、作業、製品開発、および思考の変化へ導くことに成功しています。私は唯一の日本語を話すプロフェッショナルスクラムトレーナーです。
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