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インタビュー:生きがいとウェルビーイング

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  • 投稿カテゴリー:IKIGAI

マネジメント 3.0のコンテンツ「意味と目的 (Meaning and Purpose)」の中にも登場するIKIGAIの4つの輪。
(僭越ながら私もグローバルのコンテンツ作成メンバーと共創し、コンテンツ内のエクササイズを提供させていただいております。)

そんな世界的にも注目されているIKIGAIですが、今回のインタビューはSTORY編と称して、ワークショップファシリテーター &サステナビリストとして活動していらっしゃる寺島義智さんに「生きがい」やウェルビーイング、パーパスについて多くのご経験や活動から見えた視点や考えなどを伺いました!

寺島さんとの出会い

杉山:寺島さん、今日はありがとうございます!こうして改めて生きがいのトピックでお話しできて嬉しいです。


寺島さんとは最初にSDGs関連のイベント( 第二回SDGsオンラインフェスタ)でIKIGAIのワークに私が参加したことで出会いましたよね。もともと、ワークショップをされたきっかけは何だったのでしょうか?

寺島さん:こんばんは。よろしくお願いします。

写真を使ったカード、Points of You®で、IKIGAIのフレームやポイントを使われてカードのワークをされてる方が周りに多くて、2016,17年ぐらいに、僕自身もワークを受けてその時に初めて知ったんです。

「Points of You®」を使わずにオンラインでできないかなと思って、イベントでワークショップを開催しました。

杉山:そうだったのですね。そういえば、2021年の夏、私たちも夜にオンラインでIKIGAIの輪のイベントを行いましたよね。
この時はほとんど寺島さんにリードしていただき、私は一緒に楽しませていただきましたが、静かに内省するいい時間になりました。

生きがいとは

杉山:さて、ここからいろいろお伺いしていきたいと思いますが、これまで寺島さんが様々なワークを通して、「生きがい」とはどのようなものだと感じていらっしゃいますか?


私は100人のアンケートを取ったり、ワークショップをしてきた経験から「生きがい」ってあまり自分から外に直接的に外に出さない心の中に存在している精神的なものだと思っています。誰かと話をしていても、その話題でずっと話していて聞かれたら答えますが、敢えて「⚪️⚪️さんの生きがいって何ですか?」って直球で聞くことってあまりありません。

なんとなく相手の話からそれが見えるというか、その人の言動や行動、生き様に現れていると思っているので、敢えて聞くことはないんですよね。

寺島さん:うまく言語化できるかわかりませんが、私は自然が好きなので、山に行ったり、森に入ったりした時にいろいろなものが繋がってるのだと感じます。 そのような感覚を持てた時に、植物も動物も土も微生物も、いろいろなものや存在によって自分たちが生かされてるんだというような感覚を感じられ、丁寧に生きようと思います。

生きがいイコールなのかはわからないですけど、綺麗な地球とか綺麗な森とか後世に残していきたいなと思ったりするのはあるかもしれないです 。

杉山:今日の背景も自然を感じる写真ですもんね。

寺島さん:はい。この背景は富士山の山頂から撮ったものです。

杉山:では、そういった美しい自然を後世に残したいという想いが根底にあって日々活動していらっしゃるというのはありますか?芯と言うか、軸のようなものなど…

 

寺島さん:軸みたいなのがあると、自然もそうなんですけど、他にあるとしたらあらゆるものが持続可能であってほしいという願いがあると思います。


僕自身の話をすると、過去、心身の不調があった時に踊りに助けられたんです。

踊りを通じて自分も元気になったり、自分と同じような心境の人や、心のバランスを崩している人たちも踊ったりすることで元気になれるんだったら、とダンスを踊ったり教える仕事を始めました。
数年後、身内に不幸があり、再度、心身の不調を経験しました。心と体は全部繋がってるという感覚から、カイロプラクティックのようなボディワークや、カウンセリングのような仕事も始めました。自然環境だけでなく、体も家族関係も持続可能であってほしいと願っています。

3.11が起きたり息子の誕生がきっかけで、世界や将来について大丈夫かなと視野が広がり、地球はこのままじゃ危ないと感じて、息子たちに少しでもいい地球を残していけたらいいなと思うようになった感覚はあるかもしれません。

 

杉山:そうだったのですね。そういった背景からSDGsが活動の大きな柱になっていらっしゃるのですね。

ゲームで体験するウェルビーイングと社会的認知

寺島さん:ワークショップの8割ぐらいはSDGs関連だと思います。

2016年, 17年ぐらいはどちらかというと環境問題周りをよくしたいなとワークショップをおこなっていました。
でも、企業や学校にワークショップに行くと、そこの場で取り残されている人だったり、関係性がギスギスしてるような組織もあったり、「上から言われたからSDGs やらなきゃ」 とプレッシャーを感じてる方々だったり、いろいろな人たちを見てきました。

SDGsって誰一人取り残さないってことが結構大きなテーマじゃないですか。SDGsに取り組もうとしている人たちが取り残されていることや、組織の中の問題を見ていくうちに、やっぱり心理的安全性やみんなのウェルビーイングのようなことが大事だと感じていました。

昔はSGDsのワークショップをメインにおこなっていましたが、最近はウェルビーイングのテーマや心理的安全性、組織開発のワークショップなどもご依頼が増えてきました。


杉山:
「ウェルビーイング」とは、心や体だけでなく、仕事や経済、社会も含めた幸せと健康な状態を意味していますよね。
寺島さんは個人向けにもpeatixで開催されていらっしゃいますが、ワークショップの参加者は企業の方も多いのでしょうか?

寺島さん:個人の方もいれば、企業様からの依頼やNPOや学校など幅広くいらっしゃいますね。

杉山:参加者の方は、どのような感じですか?
例えば、生活や仕事に満たされたウェルビーイング高めな方、または、ちょっと人生や仕事について考えていらっしゃるとか。

寺島さん:参加者の多くは、どちらかというとウェルビーイングに興味関心がある方で比較的、ウェルビーイング高めな方が多いと思います。ただ、自組織で問題があってワークショップにいらっしゃる方も多い印象もありますね。

ウェルビーイングの話を座学で聞いたからと行ってそれが上がるかというとなかなか難しい気がしています。カードゲームやワークショップみたいな形式だとか対話があったりするので、没頭できるようなゲームっぽいものを求められる方は比較的多いのかなと思います。

カードゲームで行われるコミュニケーションを通してウェルビーイングが上がったような感覚が得られるなど、実際に体感してもらったりするといいかなと思います。

杉山: 私が昨年夏に参加させていただいたイベント、 Well-being 1day Workshop~2つのワークショップでウェルビーイングについて体感する 〜カードゲームfrom Me×LEGO® SERIOUS PLAY®×ウェルビーイングダイアログ~の「from Me」のカードもそうですよね。

カードゲームを通じてウェルビーイングを高めることをまさに体感できる時間でした。

杉山:寺島さんはSDGsの講座や授業など、いろいろな企業や学校などに行かれると思いますが、ご経験から日本のウェルビーイングをどのように見ていらっしゃいますか?
一般に統計などで示されるように、やはり低いと感じることはありますか?

寺島さん: そうですね。高くない気がしています。一部盛り上がっている気がしますが、ほんの一部だと感じます。

杉山:どういう状態を幸せと言うのかも考え方や価値観にもよるかなとも思います。
最近は、THE WELL−BEING WEEKの開催など徐々にウェルビーイングという言葉も認知されてきていますし、企業での取り組みも増えていますよね。
今年も仲間3人で
イベント参加しましたが、自分自身の働き方や充実度、幸福度など客観視したり振り返る良い機会になっています。

生きがいも同様に、自身の価値観とか考えが反映されるもので、状況で変わることもありますし、大事にしているものは人によって違いますね。

寺島さんとIKIGAI

杉山:では、生きがいに話を戻すと、何度かマネジメント 3.0でブログを書いたこともあり、外国の方から日本人の生きがいへの考え方について意見を求められることが多いんです。

寺島さんだったら「あなたの生きがいは何ですか」と 聞かれた場合どのように答えますか?

先程も述べたように、日本人同士だと察する文化というか、「生きがい」は敢えて言葉にしないものだと私は捉えていていて、心の支えとか自分の活動や人生の精神的な軸になるものと記事でも書きました。

 

寺島さん:確かに、生きがいを自分から言う人はそんなにいないですよね。

杉山:なので、海外で4つの輪として生きがいの概念が広がって、こんなにも「IKIGAI」という言葉を聞いたり、質問が来ることに、当時はとても驚いていました!

ただ、ビジネスの世界では、4つの輪のフレームワークとして浸透していること、こんなにも世界に影響を与えた概念であること、日本人が思う生きがいの考え方とは異なった意味で使われていることを理解してから、違う文脈で考えられるようになりました。

それを知っている海外の方々からは「私は日本にも住んだことがあるから分かるけど、生きがいってフレームワークじゃないと思うんだけど、どう思う?」という声が私に多く寄せられ…数年前は結構IKIGAIの概念を考えることが多かったんです。

寺島さん:僕にとって生きがいは、すごく抽象的になるのですが、敢えて言語化するのであれば、その人が発してるエネルギーのようなものかなという気がしています。

杉山:なるほど。その人から自然とにじみ出ているような、その人自身が生き生きしてるというようなことですね。確かに、言わなくてもそれは伝わることが多いですよね。

寺島さんは最近はIKIGAIワークショップはされていらっしゃいますか?

寺島さん:最近はしていないですね。 近しいところで言うと、大事にしている価値観のワークショップだったり、自分のパーパスや、ビジョン・ ミッション・バリューを言語化するものを行っています。その辺りも生きがいと関係してきそうな気がしています。

杉山:そうですよね。仕事に関連するものであれば、それらがあって、自分が大事にしてるものを認識できることもありますよね。

特に生きがいの輪の「 お金が得られること」「世の中に求められていること」という点においては、「生きる」 というよりは、 「働きがい」という方が合っているんじゃないか、生きがいはお金じゃないんじゃないの?という声が寄せられることが多くあって、私も同意しています。

寺島さん:そこを求めない方もいらっしゃいますもんね。

杉山:私が過去に生きがいについてアンケート取った中でも「家族が生きがいです」「ペットです」 という方が多かったので、そこに「お金」とか「世の中に求められてること」というのが入ってくると、海外で広まったフレームワークの概念と日本でいう「生きがい」は確かにずれてくるとは思いますね。

確かにお金が得られれば一番良いと思いますが。コーチングの仕事が生きがいとか、子供の成長が生きがいという方にとっては違う見方になりますよね。ここ数年、いろいろな人の意見を聞きながら私も考えていることです。

パーパスを言語化する

杉山:では、パーパスという言葉がありましたが、パーパスのワークショップとはどのようなことをされるのですか?


寺島さん:パーパスを言語化する時は、レゴ®シリアスプレイ®と教材を活用した手法を使います。
頭で考えるというよりは、手を動かして作るケースが多かったりします。

個人のパーパスを表現しつつ、作品の中で一番コアになってる部分をメンバーそれぞれが取り出して一つの作品を作ります。そして、「私たちのパーパス」としてチームや組織、会社のパーパスのように言語化していきます。 

本当に自分が大事にしていることのエッセンスがチームの作品に入っていると、そこから言語化されたパーパスってきっと愛着が持てると思いますし、自分事化しやすいのかなと思っています。

杉山:言語化というと、パーパスという言葉自体も表現が難しい言葉かなと思いますが、寺島さんは参加者の皆さまにはどのように伝えていらっしゃいますか。

寺島さん:この言葉の言語化もすごくいつも悩ましいですが、普通に訳すと「目的」とか「存在目的」などになりますよね。

杉山:チームで行う時は、自分の在り方や目的を明確にしてから会社の… という流れになるのでしょうか。仮にそれを言語化したり、手を動かすのが難しいな..と感じる参加者がいらっしゃる場合、どのようにサポートしていらっしゃいますか?

寺島さん: その場合は、 もうちょっと違うワークなどでアイスブレイクすることが多いですね。ボディワークやマインドフルネスなワークを入れることもあります。

レゴ®シリアスプレイ®と教材を活用した手法ではブロックに触れたことがない方もいらっしゃるので、スキルビルディングを必ずおこないます。
つくることや語ること、メタファーについて慣れてフローに入ってからメインワークにすすみます。

メインワークでは、過去のこととか、今まで印象深かったことを聞いたり、過去の大切な学びってどんなことがありましたかとか、感動したこととか、仕事で大事にしていることなどの問いで作品をつくって対話していきます。

手を信じて作るとは言え、いきなり作ることはなかなか難しいので。少しずつ本題に入る前にいくつか段階を経ていますね。

杉山:場をほぐしつつ、会社のパーパスを作り上げていくのですね。
みんなで作り上げるというより、あるものに対してさらにそれを深掘っていくような感じですか?

寺島さん:これは会社さんによりますね。
作り上げるケースもあれば、すでにあるパーパスに対して自分たちがそこにどういう意味づけや解釈をしていくか、 または、自分と会社のパーパスの重なり合う部分はあるか、などを考えます。

杉山:それらが重なり合う部分は書き出したりするのですか?
それともレゴ®として作るのでしょうか。

寺島さん:作品で作りつつ、最終的には付箋だったり文字に書いてアウトプットします。

杉山:なるほど!終わりには思考がクリアになって帰れそうなワークショップですね。

私もレゴ®シリアスプレイ®と教材を活用したワークショップを初めて体験した時は難しくも、とてもおもしろかった記憶があります。徐々に頭が柔軟になっていく過程が創造的で楽しかったです。

お題に対して私が作ったレゴ。価値観の1つである「クリエイティビティ」を形にしています。

社会課題から共創を生み出す

杉山:ここまで伺ってきましたが、現在の様々な活動を通して寺島さんのパーパスや在り方について教えてください。

 

寺島さん:すごく抽象的な感じですが..

私は可能性の扉を開き、命の調和をもたらし、未来に紡ぐためにここにいる」と以前、言語化しました。

 

杉山:命の調和..自然の命もそうですし、人間の命もそうですね。

私も「調和」が価値観の一つなんです。英語では「ハーモニー」なので、みんながそれぞれの部分で一緒に大きなものを作る感じがとても好きです。

そのパーパスを持ちつつ活動されていらっしゃるのですね。
次に何か目指されてる事はありますか? この次に挑戦していきたいことなど。


寺島さん:
いろいろなセクターを交えてのワークショップみたいなのはやりたいなと思っています。企業や NPO、 NGO、学生や自治体とか。
いろいろな人たちと多様性のある場のようなところで アイデア出しやそういったワークショップができたらおもしろそうだなと考えています。

テーマを絞って、ある社会課題に対して興味、関心があるような人たちが集まり、それに対してどんなことができそうかなどと対話をしたりアイデア出しをしたり。

そこで、いろいろなコラボレーションという共創が生まれるとおもしろいことが起こるのではないかなと思います。

杉山: 社会課題に対して共創が起きるとさらに力が強い力が生まれてきますもんね。
一人ではやっぱり難しいなということも多いじゃないですか。私は、自分が無力だなと思うことも多々あって…。ただただ悔しい思いをすることがあります。
いろいろな業界の人が混ざって何かを起こせば本当に社会を変える力になり得ますもんね。

最後に、今後寺島さんが実現したいことなど聞かせてください。

 

寺島さん:オープンな場はできるだけ欠かさずに作ることにしています。
最近は、体験していただいたfrom Meのカードのワークショップを行うケースが多いのですが、カードゲームの後にウェルビーイングカードとか、レゴを使ったりして対話するというワークショップを今後も継続して実施する予定です。

杉山:現代的な社会課題のSDGsを学んだ後にレゴというクリエイティブな作業が入って、さらにウェルビーイングカードを体験できる良い機会でした。私もまたワークショップに参加させていただきます。 

 生きがいの話からパーパスまで寺島さんのお人柄を感じながら多方面から伺えてよかったです。
ありがとうございました!


また続きをお話しできるのを楽しみにしています!
そして、ますますのご活躍をお祈りしております☆